こんにちは 彩将です!
最近ネットで小型バイクの給油を断っているスタンドがあるという話題を見つけたので、ワンオペガソリンスタンドの目線からその理由を考えてみたいと思います。
結論から先に言いますと土日祝日との表記があることから、おそらく利益か人員の問題での給油制限かと思われます。(あくまで私個人の考えです)上記の動画で言われている最後の二行の部分は特に意味が無いものだと思われます。規模の小さい会社での急な現場対応だとこのようなかなり簡素な表記になってしまうのもよくあることです。恐らく利益などの何かしらの問題が起きたか、起こりそうになったので緊急で作ったのだと思われます。緊急と考えると人員不足の問題の可能性が高い。
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人員の問題
私が働いているガソリンスタンドでは一日中一人での運営体制なのでよくわかるのですが、バイクへの給油って車への給油よりも手間が掛かるのです。車の場合は機械をセットしてそのまま車の給油口にノズルを挿しっぱなしに出来るのですが、バイクの場合はノズルが固定されないので必ず一人はノズルを掴んだまま離れることが出来ません。トラックの場合でもノズルを手で固定しなければならないものもたまにあるが。
バイクの場合は窓拭きなどのサービスが出来ないからその分負担は減るのではないかと思っている方もいるかとは思いますが、それでも比べると車の方が手間が掛からないのです。
車の場合は窓拭きなどのサービスが終わっても給油が終わっていなければ他の車の窓拭きをやったりもできます。その点バイクだと完全に付きっ切りになってしまう。さらに、バイクへの給油は車へ給油する時よりも早く出来ません。車は車種にもよりますがノズルを全開に握ることが出来ます。でもバイクはタンクの構造上燃料が吹き出してしまうので、その半分も握ることが出来ない場合が多いです。でもバイクはタンクが小さく少ししか入らないからギリギリまで入れて欲しいという人も結構います。ギリギリまで入れるのであればエアーが抜けるのを待たなければならずさらに時間が掛かる。
なので、私のようなワンオペスタンドや少人数のスタンドでは対応が大変になってしまう。
今はガソリン携行缶への給油にしても身分証の確認が必要だったりで手間が増えていますので、負担は極力減らしたい。
売り上げや利益の問題
ガソリンの単価は何リッターであってもリッター単価は基本的に同じです。なので手間などを考えた場合は多く入る車の方が利益は出ます。ガソリンの1リッターあたりの粗利益はだいたい数円~十何円です。
そんな理由で断っていたら商売にならないじゃないかと思う方も多いかと思いますが、店の経済状況によっては仕方ない部分もあります。(件のスタンドを擁護するわけではありませんが)
混み合っていたら給油を諦めて来店しない車だって出てきますし、バイクが多くて余程そのような状況もあるのであれば考えざるを得ないかもしれません。
業界自体、車のEV化だったり低燃費化だったり車離れなんかで厳しい状況でもあります。そこにさらにコストコのような低価格を売りにして参入してきている企業だってあります。現に潰れているスタンドだってあります。それにガソリンスタンドは設備の維持費も結構かかります。そのような部分を考えれば仕方がない部分もあります。まあ、他にも大変な業界はありますが燃料小売り業界もその一つです。
常連さんの為にも働いている従業員の為にも店を潰すのは避けたいですからね。
利用者のマナーの問題
接客業をしていて避けられないことですが、中にはマナーの悪いお客さんもいます。リンクを貼った動画の中でもそんな話しをしていますが、トラブルに繋がる客は出来る限りお断りしたいものです。
そのマナーの悪いお客さんがたまたま小型バイクに乗っている人が多かったのかもしれません。
マナーの悪いお客さんがいると、他のお客さんにも迷惑が掛かるかもしれませんし、応対する従業員にだっていやな思いをさせてしまうし、トラブルになったら時間も労力も消費します。嫌な思いをした従業員が次々に辞めてしまって営業できなくなる可能性だってあります。
私もよくとんでもない客に遭遇することがあるので気持ちは分かります。
ただ正当な理由がない場合は、もし訴えられて裁判になった場合は負ける可能性もありあますのでご注意を。
お客さんを納得させる理由が必要
何にしてもお客さんが納得できる理由の記載は必要不可欠だと思います。
私は以前会社で、ワンオペはしっかりとした接客対応も出来ないし、トラブルも起きかねないから人を増やして欲しいと意見を出したことがあります。その時にバイクの給油の話しもしていたのですが、それならバイクは断ればいいと言った役職者がいたのです。その当時は他の者がワンオペ店の担当だったので言われるがまま断っていたのですが、全ての客を断っていたのではありません。常連さんのバイクだけは給油していました。
ただそれだと他のお客さんからしたら良くは思いません。それにそのような張り紙をしていたわけではないし、理由も言わずに断っていたのでクレームの電話がかかってきたこともあります。その断れと言い出した役職者も理由付けをしていなかったので、担当した社員はお客さんに聞かれてもハッキリ理由を答えることも出来なかったこともクレームになった原因のひとつだと思います。
バイクを乗っている人によっては走り出すのが大変だからなるべく止まりたくないという人もいるので、給油レーンに入ってから断られるというのは気分も良くないはず。
そのとき担当していた社員は、退職して今は違う仕事をやっています。(そのことだけが退職のげんいんではありませんが)
理由がはっきりしていないとお客さんだけではなく対応する従業員も困ります!
経営が厳しいのなら尚更、会社でしっかりと対応するべき問題です。
飲食店などでも同じような取り組みが
この小型バイクの給油制限の問題ですが、他の業界では普通に似たような取り組みがされています。
例えば、カラオケ店や居酒屋では稼ぎ時の繁忙期に少人数のお客さんをお断りしている店もあります。特に忘年会や新年会、歓送迎会シーズンにはそのような対応をしている店が多いです。高級レストランであれば子供お断りの店もあるし探して見れば結構出てきます。
他には飲食店もそうだしホテルや旅館などでは、土日や祝日、ゴールデンウィークのような大型連休では料金が違います。それだって利用制限の一種です。最近のガソリンスタンドでもバイクや容器などは車と別の価格を設定しているところもあるとか。
あとガソリンの場合は数量が多くても同じ値段ですが、食料品でも日用品でも大容量のものやまとめ買いの方が単価が安くてお得に買えます。ガソリンスタンド業界は燃料油の高騰の影響なんかもあり、経済的にかなり厳しい業界なので、他の業界に倣った施策をする会社が出てきてもおかしくありません。
特に小さい会社が生き残るためには必要です。
時代の流れによって変化しなければならない
この対応が良いか悪いかというのは人それぞれの考え方によって変わりますが、常識を変えていかなければならない時代になってきているのは間違いないと思います。
人手不足が解消できないような状況が続くのであれば、セルフスタンドへの移行や洗車や整備をしない給油専門のスタンドへの移行など少人数でも対応できる体制を取らなければなりません。
また利益が得られないのであれば利益を得られる方法を模索しなければなりません。価格の安さではフルスタンドはセルフには敵わないし、コストコのような大企業が参入してきた場合も負けてしまいます。価格の安さで勝てる店というのはほんのひと握りです。対抗して安売りばかりしていくわけにもいかないのです。
なので価格を下げなくてもサービスに特化して、その分価格を上げて利益を確保するなどの考えも必要です。数円高くても窓を綺麗にしてもらったりなどのサービスをフルにしてもらった方がいいという方もいます。必ずしも価格が全てではありません。今回のケースとは逆にバイクのお客さんに特化するという考え方も上手く使えば成功すると思います。一般車両に力を入れずトラック関係の車だけに特化しているガソリンスタンドもあります。
店を潰さずに続けていくためには割り切って手放す客層だったりサービスを決めなければいけない。私自身は今回のように小型バイクの給油を断る方法をあまり取りたくはないが、人員不足だけどセルフに移行できないという店がほとんどだし仕方ない部分はあるかもしれない。人員が少ない状態が続いてしまっているのなら簡単に人を増やすこともできないだろうし。
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